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ゴッホのカレンダー(2021年05月)


ゴッホカレンダ−2021年05月
Vincent Van Gogh《Route avec un cyprès et une etoile》1890


「糸杉と星の見える道」(1890年)
クレラー・ミューラー美術館所蔵.

ゴッホのカレンダ−、
もう5月に真打ち登場である.


なぜなら、この作品は1890年5月に描かれたそう.
亡くなる2ヶ月半前の時期だ.

このカレンダーは版権の都合か、どの絵も部分掲載だ.
全体の印象とは異なる事も多く、戸惑ってしまう.
先月の「ひまわり」がそうだった.

全体はこんな具合….


「糸杉と星の見える道」(#45


ゴッホは弟のテオに宛てた手紙の中で、
「いつも糸杉に心惹かれている」と述べ、
その「美しいライン」はエジプトのオリベスクの
ように調和がとれていると語った.

ゴッホはフランスのアルルに滞在していた
1888年から夜の糸杉を描くことを
考えていたという.

ゴッホはこの作品以外にも糸杉を主題に
扱ったいくつかの作品を描いており、
それらの多くにはこの作品のようにキャンバスの
上端を超える大きな糸杉が描かれている.

作品を描き終えた後オーベール=シュル=オワーズに
移った1890年6月にゴッホが友人であり同じく画家である
ポール・ゴーギャンに宛てた手紙の中で、この作品は
ゴーギャン作『オリーブ山のキリスト』(1889年)と同じく、
苦悩と不屈をテーマとしたものと語っている.

さてこの”糸杉”はヒノキ科のイトスギ属の総称をいう.
主にヨーロッパ方面では街路樹や公園樹として植えられている.

(ちなみにクリスマスツリーにもよく使われる木)

それにイエス・キリストが磔にされた十字架は
実は
この木から作られていたという話もあるそう.
それゆえ地域によっては神聖な木として崇拝されている.

だが、糸杉の花言葉では”死・哀悼・絶望”.
糸杉は俗に”死”を象徴する木と言われている.

「いつも糸杉に心惹かれている」と述べていたゴッホ.
死とか絶望が頭の中に渦巻いていたのだろうか?


うねるような力強い糸杉の表現に、独特の表現の月と
明るい星の表現は、この終末期のゴッホの画の特徴.
観る者を惑わせ、魅了する筆致だ.

ちなみに、妙に明るい星は天文台資料によると、
1890年4月20日に火星と金星がシリウスよりも
明るい輝きを放ったそう.その印象の描画だろうか.





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ゴッホのカレンダー2021年04月


ゴッホカレンダー4月



ゴッホのカレンダー.

まだ4月なのに、もう「ひまわり」の登場.

ロンドンのナショナルギャラリー蔵の

最も有名な「ひまわり」の部分表示.


ゴッホが生涯で制作した

「花瓶に挿された向日葵をモチーフとした油絵の絵画」

という定義であれば、7点が制作されたそう.


このうち6点が現存している.

無くなった作品は1945年に東京空襲で焼失.

枯れたヒマワリも含めて暗い絵だったそう.

ゴッホが描いた2番目のひまわりだった.


本作は4番目のひまわり.

全部で15本のひまわりが描かれている.

題名もその通りだ.


ゴッホ自身が気に入った、3番目の

「12本のひまわり」(ミュンヘン在)

をもとに制作したとされる.


同様の構図の作品が複数ある理由については、

アルルでの生活・制作の拠点であった「黄色い家」の部屋を

飾るためであったとする説がある.


この作品はゴッホと共同生活していたゴーギャンも

「ゴッホの代表作だ」と絶賛したそう.

ゴーギャンは譲って欲しいと頼んだが、

ゴッホ自身も非常にお気に入りの作品のため、

自分で大切に保管していたそう.


ゴーギャンはこのひまわりを制作しているゴッホの姿を

肖像画として残したというのも有名な話.


この絵の後、描いた5番目のひまわりは

東京新宿のSOMPO美術館の所蔵.

1987年、58億円という価格で購入.


偽物だとの噂が尽きない謎の「ひまわり」(笑)

私見だが、4番目を観た時の感動が

5番目には全く感じられないのだ.

私個人も偽物じゃないかと疑っている.


この5番目を描いた直後、

1888年12月にゴッホの「耳切り事件」が起きる.

ゴッホが自ら左耳を切断したという恐ろしい事件.


この騒動がきっかけとなり、

ゴッホとゴーギャンのアルルでの共同生活に

終止符が打たれた.





ゴッホのカレンダー2021年03月


ゴッホカレンダー03月-01
Vincent Van Gogh《L'église d'Auvers-sur-Oise》1890
パリ、オルセー美術館蔵



3月という季節にふさわしいか?

今月はゴッホ末期の作品


「オーヴェルの教会」



ゴッホは1890年5月16日、サン=レミの精神病院を出た後、

南フランスを去り北へと旅に出た.

彼はパリにいた弟テオを訪れてから、

オーヴェル=シュール=オワーズへと移動して、

医師ポール・ガシェの患者となった.


彼はここで人生最後の10週間を過ごし、

その短い期間に『オーヴェルの教会』を含む作品

100点以上を制作したとされる.


オーヴェールにあった実在の教会を描いた絵だが、

この作品が描かれた頃、ゴッホはかつて暮らした

北の地方への郷愁が募っていたと言われている.


サン=レミ=ド=プロヴァンスの出発2週間前に

妹に書いた手紙には「私は病気だったが、

それでも油絵をいくつか描いた.後で見てほしい、

北の記憶を頼りに描いた.」と記している.



複雑にうねる深い青色の空を背景に、

少し輪郭の歪んだ厳めしく重厚な教会の存在感.


これを当時のゴッホの不安と苦痛、圧迫感の表れと解釈するか、

はたまた教会への厳粛な態度の表れと取るかは

鑑賞者しだいであろう.


ゴッホの画を“怖い”という方には

こんな画の印象からだろうか?


ゴッホ最晩年の特徴である長めの筆づかいと明確な色彩対比、

ゴッホ作品の中でも圧巻の出来栄えと思う.





ゴッホのカレンダー2021年02月


ゴッホのカレンダー2月
VincentVanGogh《Terrasse du cafe le soir》1888年



ゴッホのカレンダーの2月分は

いきなり名画の登場.


「夜のカフェテラス」 (Terrasse du café le soir)

オランダのクレラー・ミューラー美術館蔵


南フランスのアルルに住んでいた頃の作品.

星空の下、人でにぎわうカフェが描かれている.

この絵でゴッホは初めて黒色をあまり使わずに夜空を描いている.


この後に描かれた名画「星月夜」の徴候が

現れている星の表現が独特.秋の星座らしい.


画題になったこのカフェはアルルのプラス・デュ・フォルム広場

に面している「カフェ・ファン・ゴッホ」.



美術研究家ジャレッド・バクスターは、『夜のカフェテラス』は

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最期の晩餐」を参照している

という説を唱えている.


カフェには12人の客がおり、中央にはキリストのような髪の長い人物がおり、

その背後には十字架にも見える窓枠がある.

そしてテラスから去ろうとしている左の影の人物はユダとも言われる、


ゴッホはオランダ改革派教会の牧師の息子で、

父同様に聖職者の道を目指そうとしたが断念し、

20代後半で画家を目指した.


ゴッホはこの作品を描いた頃、弟テオに

「私は宗教が非常に必要だということを毎日感じる」

という手紙を送っている.


カフェという享楽の場に、

キリストと12の使徒を模して描く、

ゴッホならでは大胆さかも….





ゴッホのカレンダー2021年01月


ゴッホカレンダー2020年01月
Vincent Van Gogh《Portrait de Joseph Roulin》1989




2021年はゴッホのカレンダーで進めます.

最近、気になっている画家.
強烈な個性の描画.
うねる筆致、大胆な色彩の配彩

情熱の画家.
生存中は認められなかったが、
死後評価され、今やその作品が数十億円で
取引される、後期印象派の画家.


画の説明はWikipediaから
一部引用.


ゴッホはフランスのアルルの近所に暮らしていたルーラン一家をモデルに
して複数のポートレイトを描いている.

モデルとなったジョゼフ=エティエンヌ・ルーランについて、
ゴッホは手紙で郵便配達人としているが、実際は駅の郵便物取扱係であった.

妹ヴィル宛ての手紙で彼を「頭部はソクラテスに似て、
鼻はほとんどあるかなしか、たっぷりとしたごま塩の髭、
大きな耳を持ってる.この男は強烈な共和主義者にして社会主義者で、
議論もなかなか上手い」と評している.

ゴッホはルーランをモデルにした絵を6点残しており、
そのうち1889年4月に描かれた胸像の背景に花を
散りばめた3点(本作も含む)については、

モデルとなったルーランが仕事の都合で同年1月に
マルセイユに移住していることから、
以前に描かれた同じ構図の2点を模写したものと考えられている.


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亡くなる1年前の作品.
自ら耳を切り落とした後で、4月と言うから、
サンレミの精神病院へ入院する前に書いたのであろう.


顔の筆致がわかる表現や、うねる髭の表現は圧巻.
壁紙を想定したのか、背景の花柄は丁寧な表現だ.


目の表現に、そのモデルの意志の固さみたいなものが
上手く表現されていると感じる.


ちなみに本作は、オランダ、オッテルローの
クレラー・ミューラー美術館所蔵.
実物は観たことが無い.