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映画「椿の庭」


映画「椿の庭」 -1
制作年:2020年 制作国:日本 上映時間:128分




新作邦画編の第2弾は柏キネマ旬報シアターにて、しっとりとした
絵画的作品を本年累積87本目に鑑賞.

数多くの広告写真を手がける上田義彦が、富司純子と「新聞記者」
のシム・ウンギョンを主演にメガホンを取った初監督作品.

庭に椿が咲き誇る一軒家.長年連れ添った夫を亡くした絹子は、
夫と子どもたちとの思い出が詰まったその家で娘の忘れ形見である
孫娘の渚と暮らしていた.

夫の四十九日を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死んでしまう.
金魚は椿の花で体を包まれ、庭の土へと還っていった.

庭に咲く色とりどりの草花から季節の移ろいを感じ、家を訪れる人びとと
語らいながら、過去に思いをはせながら日々を生きる絹子と渚.
そんなある日、絹子に一本の電話がかかってくる.

絹子役の富司、渚役のシム・ウンギョンのほか、鈴木京香、 チャン・チェン、
田辺誠一 清水綋治らが顔をそろえる.

以上は《映画.COM》から転載.
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写真家上がりの監督さんらしい映像の作品.花や風景、家を映す
カットがやはり組写真的だ.それぞれははっと息をを飲むような美しさ
に溢れている.

自然等の対象だけではない.絹子役の富司純子の立ち居振る舞い
の美しさをあまねく映し出してくれる.こんなに綺麗に撮ってもらう
女優さんは幸せであろう.本作の富司純子は絶品だ.

映画「椿の庭」 -2



むろん渚役のシム・ウンギョンの愛らしさ、可愛さも十二分に撮られて
いる.その若さに溢れた横顔の美しさをたんと味合うことが出来る.

映画「椿の庭」 -3



舞台となるのは葉山あたりと思しき海を見下ろす高台の、立派な庭を
持つ古い大きな家.映画の題は“椿の庭”だが、季節によって藤や
紫陽花等々の様々な植物や空模様で移りゆく季節と暮らしの美を
描き出している.家の庭自体の撮影は1年に及んでいるのだろう.

家を通じて感じさせる夫との思い出と、それを近くで見つめる孫娘の
思いが、兎に角ゆったりまったりたっぷりで、セリフもそれ程多くはなく
その空気に浸る為の作品の印象.脚本的に波乱万丈は無い.

海、雲、雷雨などの自然描写が合間に入る.加えて金魚、蜂、バッタ
時には家に住むヤモリまでも登場させて、自然との融合を感じさせる.

歴史ある家の調度品は、どれを取ってもアンティーク調.優美な
シャンデリアが美しい.電話までもが、初期のプッシュホン、
時を感じさせる型式で、それで電話する富司純子の姿がまたよく
似合うのにはため息が出てしまう….

“画”だけでなく、“音”と“音楽”の使い方も耽美だ.
絶え間なく響く波の音、鳥の鳴き声、風でざわつく庭の木々….
静かな家では、ちょっとした生活音もよく響く.テレビやケータイは
一切登場しないのも好ましい.

静かなBGMは、始めはピアノ独奏で、中盤は絹子の“心の震え”を
表すかのようなチェロソナタに代わり、ピアノ独奏に戻って、
ピアノ四重奏でエンディングを迎える.

絹子の想い出の曲として、ブラザーズフォアの「トライ・トゥ・リメンバー」
が懐かしいレコードプレーヤーで何度も演奏されるのが印象的.
ピックアップはどうみてもOltfonで、監督のこだわりが見え隠れする.

予想通りの破綻しない結末.
はかなく消えゆくモノ、人への想いが溢れた作品.




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